デジタル作画について─腸饉劼PCは個人の所有物ではありません!

  • 2019.03.22 Friday
  • 14:34

『ベルセルク』の#01納品が始まったのは、2016年の6月15日のこと。


ちょうど、6月13日に『うさかめ』#11の原版を抜け、#12も作画は終了目途がたったところ。
『うさかめ』はコンテ作業者を中心に、各話数名のスタッフで持ち回り担当していましたが、あとはDVD特典の作業スタッフを残し、スタッフ全員が『ベルセルク』作業に集中していく時期でもありました。
『ベルセルク』の作画状況としては、翌週再CTの#08作画カットを粛々作業しているスタッフと、#03のDB前差し替えが終わったところでCGガイドカットが手元に揃い、そちらの作業を中心に進めているスタッフに分かれての作業進行中。

 

そんな頃のことだったと思います。

 

 

GEMBAさんから出て来るCGガイドについて、制作が「このカットはこのスタッフに〜」と明らかにより分けるポイントが出来ていることに気がつきました。

確かに作画は技術職ですから、スタッフごとに得意・不得意はあるものですが、大判の面倒そうなカットが、特定作業者2名に固まって入っていく事に気づき「ちょっと、コレまずいでしょう」と注意を入れると、思ってもいなかった返答が返って来たのです。

 

曰く「彼ら『ClipStudio』を使えるんですよ」

 

実は『Stylos』の一番のネックは、大き過ぎる画像ファイルはPCが固まってしまう事。
以前のブログ記事でも触れたような気がしますが、このツールの開発チームは2008年の更新版を最後に解散してしまっています。
つまり、このツールは当時からしても既に8年前のツール。
日進月歩のマシンスペック進化で、「こんなに大きな解像度なんて聞いてないよー」ということになっていたのでしょう。

 

「ちょっと待って。なんでそんな問題点も解決策もわかっている事が共有されていないの!」
と制作スタッフを問い詰めてみると、
「解決策がわかっていたから、自分で対応出来ると思いました。」
という返答が。

 

責任感から動いてくれた事を怒ってもマイナスしかないのですが、
「『問題』っていうのは『問題』が可視化した段階で『価値』があるの。改善出来れば前進するんだから、そういう情報を独り占めしちゃダメよ!」

と苦情を言って、そのスタッフと作業スタッフを集めて話し合いの場を持つことに。

 

・PCが固まるって、どの位の頻度で起こってるの?
・『ClipStudio』の使い勝手は? 慣れるのにどのくらいかかる?
・『ClipStudio』の使い方をみんなに教えられる?

等を、作業スタッフへ確認。その結果、

・頻度としてはCGからガイドが出るカットが固まる可能性が強い。カメラが動くカットで大判になるカットが、stylosだと固まりやすい。もしかしたら『ベルセルク』以外の作品だと問題にならないかも知れない
・使い方はそんなに難しくないと思うけど、作監さんがstylosで作業している以上、変換作業が必要になるから、制作さんの手間は増える
『ClipStudio』は根本的な思想が『個人制作向き』ソフトなので、仕様がだいぶ違う。慣れは時間の問題だと思うけど、慣れる時間を持つなら制作佳境になるのが見えている『今』じゃない方が良いかと…
・『ベルセルク』終わったら、マニュアルを作る。自分も試しながら使ってる部分が多いので、この作品中に気になったことを書きだして、終わってからまとめる…で、大丈夫か?

というような提案を貰いました。

 

「それでは」と、7月番組期はこのまま大判カットは『ClipStudio』作業可能なスタッフで対応して貰うこととし、ただし、データ容量が制約条件になるなら、全員が使える方が作業分担がしやすくなるので、『ベルセルク』の作業が抜けたところで使い方マニュアルを作って貰い共有し、全員のPCにツールを入れてしまおうという事になりました。

 

実際、ミルパンセは今も『Stylos』をメインに作業をしていますが、作画の『大判のカット』以外にも『版権』や『設定』は『ClipStudio』を使用して作業するスタッフが多いと思います。

イラストツールの進化版という事で、『ClipStudio』は書き味やブラシツールの多さなどは非常に魅力的。

板垣監督が連載しているアニメスタイルさんのコラムも、『ClipStudio』作業ですね。
 

さて、この時『現場スタッフが出来る事を動いてくれたから問題を乗り切れた』という側面はあるものの、二つほどスタッフ全員を会議室に呼び、文書を配って厳重注意をした事があります。

ソフトウエアには、其々長所も短所もあるのが普通。
作画が技術職である以上、技術のあるナシで出来る作業が変わるのはともかくとして、ソフトウエアを知っている・知らないという『知識』で、出来るカット・出来ないカットが判断されるのは、会社としては望ましくないという話をしました。

知識があるスタッフを、スタッフ間で頼りにするのは当然のことですし、それが出来るのも会社に所属する大きなメリットだと思うのです。

『知識は共有するもの』・『技術は個々が磨くもの』と認識して欲しいという事ですね。


それと、使用スタッフが固定されているPCには会社で入れているソフトウエア以外のインストールを禁止とし、代わりに『フリー席』を設けることで使用したいソフトウエアは会社でまず一台を入れてみることにしようという話をしました。
金銭的な制約はどうしても出ますが、可能な限り希望するスタッフがいるツールは一台試しに入れることで、全員がそのツールをさわれる環境を作り、作業スタッフが使い勝手の確認をし、私がそれらの費用対効果を検証したところで、勝手が良く、個々のスタッフが本番素材を使用しての使用頻度が上がる場合には、必要に応じて対応を考えよう…という取り決めでした。

 

『会社のPCに勝手にソフトをインストールしないこと』

 

コレ、私の中では当たり前の事だったのですが、きちんと明文化をしていない時期、実は結構なスタッフが簡単にいろんなツールをインストールしていました。
ミルパンセは『ClipStudio』をきっかけに、確認して気がつき慌てて対応したのですが、セキュリティ面を考えても、はじめに明文化しておいた方が良い要項だったと思います。

 

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