デジタル作画について…閑話休題

  • 2019.05.10 Friday
  • 00:00

さて、ここ数回『作品の振り返り』に近い話を続けてしまいましたが、元々このブログは『デジタル作画』に着手をしたいと考えている方達へ、弊社で起きた問題点や良かったことなどを共有する事で懸念点などが少しでも減れば良いなと思って始めた連載です。


…ということで、2016年春に作画部分がデジタルに切り替わり、2017年春に絵コンテまでデジタル化となり、明けた2018年。

この時期に見えていたメリットや問題点を、一度まとめます。

 

 

 

★ツールは何を使えば良い?
→始める前は一番気にしていた点が『他社との互換性』。
結論から言うと、ツールを選ぶ際に『他社との互換性』に縛られる必要はありません。
弊社は『費用が安い』が初めの制約条件でした。そこから考え、候補として挙がったのは『RETAS STUDIO』と『CLIP STUDIO』。
現在は素材管理のしやすさから『RETAS STUDIO』を使用していますが、線質にこだわる必要があれば『CLIP STUDIO』や『TV Paint』の方が良いかも知れません。

新しいソフトがどんどん出ていますから、それらの特徴と作品毎に大事にしたい部分を検討し、制約条件と照らし合わせて落とし込んでいけば良いかと思います。

 

 

★初手で必要な機材投資はどうする?
→ココは、経営者からすると必ず問題になるところ。
弊社は助成金活用を検討していましたが、スピードを重視し、練馬区のアニメ特別産業貸付を使用して機材費を捻出しました。

 

 

★素材同士の互換性は大丈夫か?
→アナログ基盤のところに、数名だけデジタルスタッフが混在すると相互のやり取りは結構大変です。
アナログからデジタルへの一方向とするのであれば、通常使用している『仕上げ注意事項』をベースに、スキャンする工程箇所に合わせた注意事項を作成し、統一を取れば問題あありません。
デジタル同士のやり取りでいうと、『png』を主体にやり取り。

その他、画像のピクセル数と解像度の取り決めをしておけば、なんとかはなるようです。

 

取り扱いやすさを優先するなら、ファイルの名前も決まりを作ってしまった方が効率的です。
名前の規則性を覚え、全データのリネームをするのは時間がかかりますが、アナログでいうと出したものを出しっぱなしにするのと、片す場所を決めておいておくのでは探し物にかける時間が変わるのと一緒。
全工程のバックアップが簡単に出せるというのはデジタル作画の強みにもなるので、仕上げ注意事項に準ずる形で、作画注意事項を作成し、統一をしておくことを推奨します。

 

 

★デジタル作画は作業効率が良い?
→PCを立ち上げ、ソフトを立ち上げ、ツールを使って描く。
個人で「現状と同じ一工程を作業」と考えるならば、多分、紙と鉛筆のアナログ作業の方が早いです。

費用のことも考えると、デジタル化はあまりおススメ致しません。
但し、会社単位等、集団でデジタル化をしていくなら話は別です。
一人ひとりのセンスや判断力を機械で補うのは難しそうですが、『一律な線を描く』という一点では、ソフトウエアを使用することで、誰もが同じ線を引けるようになりました。
…という事は、小さな徒弟制を敷いてグループワークにすることで、スタッフ内での技術指導や引き継ぎ等、全体の生産性UPには貢献出来るという結論です。

 

 

★ツールに慣れるまでの時間
→「デジタルに切り替えるぞ」と心に決めて、デジタル作業メインに切り替えたスタッフでも、切り替え直後の2週間程は作業にならない覚悟をしておいた方が良い印象です。
ツールの使い方は簡単なので皆さんすぐに覚えるようなのですが、成果物として作業物を提出するところまでいくのにちょっと時間がかかるようです。
そして制作からの見た目(成果物の数や内容)では、2カ月もすれば「慣れました?」と訊ける印象になりますが、本人からの発言ベースで言うならば、弊社では1年近く経って「最近だいぶ慣れました」という発言が聞こえるようになりました。


作画スタッフにとって、書き味は大切なこと。鉛筆のメーカーや種類による書き味の違いにもこだわるスタッフが沢山います。そうしたスタッフ全員がデジタルの書き味に慣れていくには、時間がかかるのだろうと思います。
アニメは大勢のスタッフが関わる作業なので、意識して集団作業化していけばメリットはありますが、個人単位の分業作業と考えるとメリットはあまり大きくないような気がします。

 

 

★制作管理の変化
→カット袋が一回り小さくなりました。
作業者手元の物量把握の為にカット袋が有効なことにかわりはなく、全工程デジタル化した今でもカット袋はアナログで作成しています。
撮影へカット袋とシートを入れにいく工程上、シートもまだ紙です。
但し、素材のやり取りがデジタルデータになった事で、圧倒的に外回り回数は減りました。

 

 

★アナログとデジタルのコスト対比
→アニメ制作費の9割は人件費です。

1割で維持費や経費をまかなっていると考えるなら、アナログからデジタルへの作業変化によるコスト費用にはあまり変わりがありません。
ただ、デジタルで集団フローを構築していく事と、ツール発達による機械作業が増えていく事で、ひとつの作品を今より少数のスタッフ+機械作業でアニメを作ることが出来るようになるのではないかと考えています。
そうなれば、人件費の単価部分は上げられるようになります。

 

 

★作画ソフトのデジタル化に伴う、線撮・本撮のフロー変化

→まだ、弊社では本撮フローには変化がありません。
線撮工程は、作画ソフトからムービーデータをかきだす事が出来るようになった為、それらにボールド足しを行い、線撮素材として取り扱うようになりました。

 

 

GWに一回更新をお休みしたこともあるので、今年公開されていた『ACTFへ来た問い合わせ』を元に『私なりの、現時点での見解』という形で、GW前に公開していた記事を、一度整理させて頂きました。

 

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